未来の終わり

例えばあなたが人生最期の日を迎える

目を閉じて息を引き取る

ゆっくり目を開けた時見える景色は

真っ白な四角い部屋

音は無い

左側には窓があり日差しが優しく差し込む

ドアや棚は何もない

あるのは床に散らばるたくさんの写真

いくつかの写真は小さく輝いている

その写真をあなたは手に取る

正面から見るのは間違い

横から

裏から

斜めから

全て違う

写真を手に取ったら目を閉じて

写真に写る思い出をまぶたの裏に映す

友人の笑顔

子どもの笑い声

愛する人の優しい香りを思い出す

そんな日常に置かれた特別な1枚の景色

そんな写真をいくつも手に取る

胸がいっぱいになり涙が溢れる

すると手に取った写真達は消えていく

もっとたくさん思い出したい

もっとたくさん胸に刻みたい

そんな思いをよそにいつしか写真は全て消える

あなたは大声で泣く

小さく輝いていた写真達は幸せな日常だった

そんな思い出を深く刻み込み

大声で泣くあなたは最初からやり直す

生まれたばかりの同じ自分から

同じ出会い、同じ出来事に囲まれて

同じ人生を歩み直す

ただ少しだけ違うのは

胸に深く刻み込んだ思い出を持って

前世の自分よりもほんの少し幸せに生きる

今日の自分は何がしたいか決まりましたか?

未来の終わりに持っていく写真は増やせる

僕達にはまだ今という時間があるのだから

全ては自分が幸せに生きる為に

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